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失敗の本質①

数年前のこの時期に『失敗の本質 ― 日本軍の組織論的研究』(中公文庫)という本を買いました。本屋で平積みになっていたんです。リーダーとして上手くいく組織ってなんだろうと常々思っていたので手に取ったのですが、ちょっと難しい本で、かつ当たり前ですが戦争のことが書かれているので読むのが辛く、触りだけ読んで本棚の肥やしになっていました。

 

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今日は「失敗の本質①」

具体的ではないにしろ、戦争の話が出てきますので、読むのがしんどい方はスルーしてくださいね。

 

はじめに

『失敗の本質 ― 日本軍の組織論的研究』1984年に初版が出た、日本の組織研究ではかなり有名な本で、野中郁次郎さん(知識創造理論で有名)を含む6名の研究者が共著しています。

本書は、大東亜戦争(=太平洋戦争)における日本軍の主な敗戦(ミッドウェー海戦ガダルカナル戦、インパール作戦など)を題材に、戦術や武器性能ではなく、組織論・意思決定論の観点から「なぜ敗北したのか」を分析しています。

今日は、具体的な失敗事例に入る前に、本の概要をまとめます。帯の言葉は最後に紹介します。

6つの事例について

取り上げられている6つの事例を簡単に紹介します。

ノモンハン事件(1939年)
満州モンゴル国境での日ソ衝突、補給軽視と戦術ミスで大敗。

⇨目的不明・補給軽視・精神論偏重・中央と現地の不和が、組織の自壊を招いた。

 

ミッドウェー海戦(1942年)
暗号解読で待ち伏せされ、日本海軍が空母4隻を失った転換点。

⇨目的不統一・情報戦の敗北・攻撃偏重が、致命的な海戦敗北を招いた。

 

ガダルカナル作戦(1942年)
補給線維持に失敗し、消耗戦で撤退した南太平洋の戦い。

⇨情報不足・統合作戦の欠如・兵站(へいたん=戦闘部隊の活動を支えるための物資・人員・情報などの補給や輸送の仕組み)軽視が、長期消耗戦と敗退を招いた。

 

インパール作戦(1944年)
無補給のままインド侵攻を試み、多数の兵士が餓死・病死。

⇨補給無視・情報不足・精神論・組織の甘さが絡み合い、無謀な作戦を強行して壊滅的損害を出した。

 

レイテ海戦(1944年)
フィリピン周辺での決戦で日本海軍が壊滅し、制海権を喪失。

⇨戦力評価の誤りと指揮・通信の崩壊が、海軍壊滅を決定づけた海戦。

 

沖縄戦(1945年)
本土防衛の最前線で行われ、民間人を巻き込んだ激戦で大きな犠牲。

⇨戦略目標の不統一と指揮の不調和が、長期化と甚大な犠牲を招いた終局戦

日本軍と現代組織の関係

本書では軍隊を「近代的官僚組織の代表」とし、次のように分析しています。

平時の安定した状況では有効に機能したが、不確実で流動的な有事には対応できず、組織的欠陥を露呈した。

つまり、平時と有事では組織の考え方を変えなければならないということです。

私自身の経験でも、平時は上に相談してから動くことができても、有事はそれでは遅すぎます。報告の間に状況が変化することもあるからです。

  • 平時 → 情報を集め、時間をかけて検討

  • 有事 → 状況を固定する措置を取りつつ、自分で判断・行動

平時の組織と有事の組織では全く異なるメンバーで挑むのが適切なんだと思います。

平時は全ての報告をあげて上が判断するということができたとしても、有事の際は、それではスピードが遅すぎます。報告をあげている間に状況が変化していたりします。
ということは、平時は報連相がしっかりできて、指示に忠実に動ける人が必要で、有事の時は目的をしっかりと意識し、幅広い視野で情報を収集し、短時間のうちに先を見越して、自分の力量で判断し実行に移せる人が必要だということです。

さて、あなたには有事のリーダーシップは必要ですか?
短時間のうちにということを除けば、地位が上がるごとに従って、有事に必要な能力はリーダーとしても必要だと思います。

短時間のことはさておき、有事のリーダーになれそうですか?

日本軍の精神論

戦後80年も経つと、精神論は古びた価値観になりつつありますが、とはいえ、今も残る場面があります。

メンタル強化の方法も訓練もないのに「気持ちで負けるな!」という号令。これは本当に無意味だと思います。

本書には、上官が「気持ちで負けないこと」を証明するために無謀な計画を立案し、実行させた事例も出てきます。

精神論は時に「分析を妨げる口実」になり、無謀な作戦や施策を正当化してしまうこともあります。

やはり、総合力でバランスよく力をつけていくのがチームだと思います。

個人の場合は得意不得意があって、不得意を補うような教育をした結果、あまり良い作用を生んでいない感じはしますが、チームでは不得意を消すような動きをする必要があるなと思いました。

あなたの仕事に必要なのはどんな能力でしょうか?どこが強くてどこが弱いのでしょうか?

最後に

帯にこんなことが書かれていました。

破綻する組織の特徴

・トップからの指示が曖昧

・大きな声は理論に勝る

・データ解析が恐ろしくご都合主義

・「新しいか」よりも「前例があるか」が重要

・大きなプロジェクトほど責任者がいなくなる

恐ろしいですが、現代にも当てはまる組織はあると思います。
最後の項目ですが、組織で働いていて、「小さな失敗は責められるが、大きすぎる失敗はうやむやのままに終わる」のだなと思ったことがあります。おそらく今でもあると思います。失敗の隠蔽や忖度が続けば、同じ過ちが繰り返されます。リーダーこそ誤りを認める器を持つべきだと思います。

そうならない組織であることを願って、今日はこの辺でおきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

❀ 𖤣𖥧𖥣 * … * … * 𓂃𓈒𓏸◌ ❀

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